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有性生殖のコストとパラドックス

有性生殖と比較して、短期的には無性生殖の方が有利な繁殖方法とされる。個体数と繁殖スピードが同じ個体群なら、子供を生まない雄がいる個体群よりも、子供を生む個体ばかりの個体群の方が繁殖速度が大きい。例えば雌雄が1:1である集団の場合、無性生殖による繁殖速度は有性生殖の2倍となる。また、有性生殖には高いコストが付きまとう。異性を探し回る、交尾をするなどの繁殖行動には時間や体力が必要である上、交尾中は無防備である。このようなコストは有性生殖のコストと呼ばれる。

上記の通り、有性生殖は繁殖スピードが遅い上にコストが掛かるが、実際の生物には有性生殖を行うものが多い。これは有性生殖のパラドックスと呼ばれている。この事実は生物学者を悩ませ続けているが、このパラドックスと有性生殖の進化を説明する代表的な仮説を紹介する。

「無性生殖では有害遺伝子が徐々に蓄積していき、いつかは生殖や繁殖に支障をきたすに至る」という理論。ハーマン・J・マラーとロナルド・フィッシャーにより提唱された。

有害遺伝子を0~x個持つ個体が入り混じった生物集団を仮定する。無性生殖を行う個体群では、有害遺伝子が生じても、遺伝子の組み換えが起こらない無性生殖では取り除かれない。ここで有害遺伝子0個の個体が偶然に絶滅した場合、最小の有害遺伝子数は1個となる。さらに有害遺伝子を1個持つ個体が偶然に絶滅すれば、最小の有害遺伝子数は2個となる。このように、徐々に有害遺伝子数の最小値が大きくなっていくと、ある集団における有害遺伝子の比率が徐々に大きくなる。

このようにして有害遺伝子が蓄積されていくと、一つ一つの効果は小さくても、遺伝子の組み合わせによっては、生存や繁殖に支障をきたす可能性がある。当然、集団内における有害遺伝子の割合が高まれば、そういった組み合わせが出来上がる可能性も高まる。

ちなみにラチェットとはテニスのネットを巻き上げる際にも使われる機構のことだが、有害遺伝子蓄積の一方通行性を示す表現としてマラーの「ラチェット」と呼ばれる。有性生殖は、ラチェットでいえば巻き上げ過ぎた時に緩めるための機構にあたり、遺伝子組み換えにより有害遺伝子の不可逆的な蓄積を防ぐ。これが、この考えを根拠にした有性生殖の意義である。

しかしこの説に関しては、有害遺伝子を持つ個体の方が淘汰を受けやすい為に、そもそも有害遺伝子は集団から排除される傾向にあり、従って有性生殖の必要性を説くには不十分である、などの反論もある。


『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
マラーのラチェットについても調べてみました。

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2009年7月13日 20:21に投稿されたエントリーのページです。

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